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音叉式の腕時計、アキュトロンが有名なブローバ。アキュトロンはアポロ11号により静かの海に設置されました。
この音叉式の計時システムは重力に影響されにくいことからエクスプローラー計画の搭載時計や、宇宙船のパネルクロックなどにもブローバ製の時計が採用されていました。後にオメガのスピードマスターにも影響を与えるなど時計史を彩る存在として現在もブローバは人気です。

ニューヨーク発祥のブランドだけに特にアメリカ国内の人気は高くなっていますが、日本国内の中古市場などでも流通量は多くなっています。

マンハッタンのメイデンレーンで1875年に宝石商として創業したブローバは1911年からは時計製造に着手し、現在まで一貫して時計の販売を行っています。近年では積極的にヨーロッパやアジアなどにおける海外展開を行っていますが、アメリカにおける支持は絶大で国内販売数量１位を誇り、大統領専用機「エアフォースワン」のキャビンの掛け時計にもブローバ製のものが用いられています。
品質の高さを何よりも重視し常に革新的な技術開発を行っていたブローバは、機械式時計の製造技術もさることながら1960年に発表した、超小型の音叉をムーブメントを用いた電池式腕時計の「アキュトロン」が有名です。当時最高精度の月差一分という驚異的な時計で、従来の機械式と比べて大きな重力の下でも精度にほとんど狂いが無いことからアポロ計画の宇宙船内の計器タイマー、パネルクロック、航行用計器などに幅広く採用され、月面に設置する観測機器のマスタータイマーにも用いられたため現在もアキュトロンが月面の静かの海に設置されています。
この画期的な仕組みの技術情報の開示を積極的に行わなかったことがセイコーを水晶振動子の研究に向かわせたと言われ、やがて生まれるクォーツ式時計によってブローバ社は苦境へと追いやられていきます。アメリカ人でさえ「過去のブランド」という印象になってしまったブローバですが、2008年に同社を買収したシチズンがアキュトロン・スペースビューの復刻を発表すると同時に大きな話題を集め、2010年に世界限定1000本で発売された音叉ムーブメントのスペースビューは瞬く間に完売、続くアキュトロンシリーズも大いに注目されるなど新たなブランドバリューが期待されています。
2012年には世界初の歩度調整システム( External Fine Adjustment System )EFAS機能を開発し、時計の歩度を裏蓋を開けること無く使用者自ら行うことができるという画期的な機構を発表しました。