なぜ時計の買取価格は一定ではなくて、変動するのでしょうか。
時計の買取価格を決定する要因を大きく、買取相場と個別の買取店の事情、という2つに分類し、ここでは買取相場がなぜ変動するのか、その理由を分かりやすく解説します。
外国為替の影響
高級時計は世界中で流通しており、その商品価値は基本的に世界共通です。
そのため為替が大きく円安に傾けばその分だけ価格が値上がりし、買取価格もそれに追従することになります。
高級ブランド時計は世界共通商品
高級ブランド時計は基本的に世界共通で販売される商品です。流通経路の違いにより、日本に入ってくる時計は正規品、並行輸入品などと呼ばれますが、もとを正せば同じ時計メーカーが製造した同じ商品です。国や地域により、人気不人気はありますが、昨今の時計の商品開発においては世界中で販売することを前提として作られた製品がほとんどです。
安倍晋三率いる自民党政権誕生で
為替は22%も変動
高級時計は世界商品ですので、為替が大きく変動すると、輸入や輸出の割合が大きく変わります。第二次安倍内閣が2012年12月に発足してから2013年11月時点において、USドル円レートは82円から100円と、割合で約22%もの円安となっています。それに伴い、中古時計の流通先も国内の消費者向けから外国向けに大きく変化しています。どのような買取店が高値で買取できるかでいうと、過去には国内向けの販売が強い業者が高額買取できていたのですが、最近では輸出がメインの販売先である買取店が高値買取できるようになっています。
為替レートが22%も変動し、外国からの時計の買い圧力が高まるに従い、日本での買取価格も高まっています。
メーカーの定価変更
2013年、多くの時計ブランドが定価の値上げを発表しました。これには材料費の高騰や円安の影響があると言われています。この変化に連動して中古の価格も上がることになるため、買取価格にもそれに続いていくという構造になっています。2013年11月、ロレックスの価格改定が行われました。
新品の定価が上がると
買取価格は上がる
新品の正規品販売価格はメーカーが設定しますが、並行輸入の新品、中古品の販売価格は市場が決定します。市場とは需要の供給均衡点であり、当然ですが、新品は中古品より常に高い価格で販売されます。
一般的には以下のような価格になります。
新品定価引き上げに伴う
中古買取価格上昇のサイクル
メーカーが時計の新品定価を引き上げると、中古時計の買取価格も上がりますが、これを分かりやすく順番に見てみましょう。
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メーカーが時計の定価を引き上げを決定する
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正規品と平行輸入品の新品販売価格が上がる
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新品と比較し、相対的に中古時計の販売価格が割安になる
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割安な中古時計の販売が好調となり、品不足になる
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販売店は、中古時計をもっと仕入れるために、より高い値段で買取を行うか、もしくは中古時計の販売価格を引き上げる
生産終了に伴い
需要と供給のバランスが崩れる
時計の新品の製造を中止することにより、需要と供給のバランスは大きく崩れ、時に中古品の買取価格を押し上げることがあります。
モデルチェンジにより
生産終了品の人気が上昇
新モデルの登場で従来モデルが生産終了となるのは時計業界でよくある話です。しかし新モデルの人気がそれほど出ず、逆に生産終了モデルの方に注目と需要が集まることがあります。新モデルが大きくモデルチェンジをした場合などは、過去に販売されていた生産終了モデルのほうがカッコイイという理由で相変わらずの人気を保ち続けることがあります。この場合、旧モデルは既に生産中止になっていますから、旧モデルの新品はすぐに在庫が無くなってしまい、新品価格は高騰し、中古でも以前より人気がでることがあります。不人気のため製造を中止してから再評価されるケース
不人気のため製造を中止してから
再評価されるケース
人気モデルのモデルチェンジの失敗による中古品の買取価格高騰だけでなく、不人気が理由で製造が停止されたモデルが、後に市場で評価され価格が高騰することもあります。
アンティークの時計は
基本的に下落傾向
ほとんどのアンティーク時計には、買取相場というものが存在しません。これはアンティーク時計が最新モデルと違って一点ものであり、コンディションがバラバラであることが理由です。また、以前と比較して、最近では大きくてゴツい時計が人気のため、欲しがる人の数は減っています。なかには驚く程高いアンティーク時計もありますが、大多数のアンティーク時計は古い時計として価値を落としていきます。