高い再販価格を達成する
時計こそが高い資産価値を持つ
経済原理のよると、価格のこととなれば、それらは製造者によって決定されるのではなく市場によって決定されます。時計の世界では時計のリセールバリューとオークション価格にそれは特に際立って見られます。新しい時計の小売価格は、長期的な投資もしくはリセールの潜在的価値を意図する人を騙すような、意欲的な価格になりがちです。共通の疑問として一般消費者が自分自信に投げかけるのが「この時計は利益をもたらしてくれるのか?」ということ。それは良い質問だが長い時間をかけても答えることは難しい。そういうわけで私は再販時の価格において高い値段を持つブランドについて議論することが大事であると結論付けた。
高い需要があるだけではなく、高い再販価格を達成するブランドとモデルが高い価値をもつのであると推論できる。
最も高い価値のブランドとモデルは、もっとも有名であることには驚かない。しかし、それは全ての場合でのことではない。もっと詳しく知るために、Chrono24のCEOであるティムストラックに話を聞いてみた。Chrono24は世界でもっとも大きな時計売買のマーケットプレイスです。Chrono24はChronolyticsという分析ツールを使って膨大なデータを分析している。ストラック氏は私達のしていることに意味付けをしてくれて、大きな変動要因、需要のある製品とブランド、再販か投資価値として、一番よい時計はどの時計か、などを議論してくれた。私達もいくつかのあまり知られていないブランド、おそらく将来性があるであろうブランド、について議論した。
最近人気のある
時計ブランドはどこか
アリエルアダム(AA):一般的に定番といいますか高い需要のある時計ブランド、例えばロレックス、オメガ、パテックフィリップなどがありますね。最近ではどのブランドが需要がありますか?
ティムストラック(TS):これらのブランドは本当に需要が高く、世界でも最も人気のある伝統的ブランドといえるでしょう。Chrono24ではIWC、オーデマ・ピゲ、そして特にパネライの時計が需要が高まっています。我々はこれらのブランドセレブリティを活用した卓越したマーケティングと高い品質の製品をミックスした結果だと思っています。意味として、これらのブランドの全ては、技術開発と時計文化に大きな衝撃を与えたデザインをもってして、歴史と輝かしい過去を作ってきました。ジェラルド・ジェンタがデザインしたオーデマピゲのロイヤルオーク、同じデザイナーがデザインしたIWCのインジュニアがマイルストーンとなり、リューズガードを備えたクラシックパネライは世界の要求に答えました。
AA:2、3の人気のブランドに時計市場は席巻されていますか?それとも消費者は幅広いブランドやモデルに興味を持っていますか?
人気上位10の時計ブランドが
検索需要の6割を占める
TS:Chrono24では上位10ブランドはChrono24の検索クエリーの60%を占めます。これは人々が予想するようろは少ないものです。ロレックスひとつのブランドで全時計の検索クエリーの20%を占めます。しかし、より小さなメーカー(マニュファクチュール)は知られておりそのブランドのファンがいます。ランゲ&ゾーネやグラスヒュッテオリジナルです。もっと大きな人気ブランドのように、彼らにも豊かな歴史があり、幅広いグループのコレクター達がいます。コレクター達はいつも何かの集中しています。例えばアンティークウォッチであったり、ダイバーズウォッチであったり、クロノグラフであったり。ロレックスのコレクターの数に関して言うならば、彼らはギャンブラーともいえます。彼らは数量の限定されたロレックスの時計やその他いくつかのビッグブランドの素早い価値の上昇を望むからです。
Chrono24における
人気の時計ブランド上位10位
- ロレックス
- 21.16%
- オメガ
- 7.8%
- ブライトリング
- 6.01%
- IWC
- 4.73%
- パテックフィリップ
- 3.69%
- パネライ
- 3.68%
- オーデマピゲ
- 3.58%
- タグホイヤー
- 3.34%
- ジャガールクルト
- 2.98%
- カルティエ
- 2.82%
上位10ブランド合計:59.79%
Chrono24検索結果より/出典:Chronolytics 2012
時計の人気に影響を与えるイベント
AA:高いレベルで注目を集めることのなかったブランドの好感度や需要に影響を与えるイベントや状況は世界にありますか?
TS:大きなスポーツ・イベントや映画は需要に大きな影響を与えることがあります。欧州のサッカー大会はウブロの需要を押し上げました。新しいジェームス・ボンドの映画007では、オメガのシーマスタープラネットオーシャンの人気を大きく押し上げました。
フェリックス・バウムガートナーがスカイダイビングで3900mという高さからゼニス・エルプリメロストラトスを装着して飛び降りた時、Chrono24では莫大な検索クエリーの増加を確認しました。オーデマピゲはアーノルド・シュワルツェネッガーとしばらく組みましたが、映画ターミネーターのためにデザインにも参画しました。シルベスター・スタローンは短期間ではありますが、ブランドが生まれ変わるタイミングでパネライを身に着けていました。これらが需要を喚起しました。イノベーションが需要を喚起することは保証されています。再びウブロを例にとりますが、カルロクロッコとMDMグループ、そしてブランパンの前オーナーであり救済者であるジャン・クロードビーバー氏はカーボンファイバーとエキゾチックな素材から作られたハイテクウォッチでブランドを再起動させました。そしてあっという間に時計愛好家たちから興味をもたれるようになりました。小さなブランドでも、技術開発のよるイノベーションによって、マーケティング視点で需要を大きく引き上げることは可能ですが、かなり難しいことでもあります。
今後価格の値上がりが
見込める時計ブランド
AA:価格の見通しからどのようなブランドが今後価格が値上がりし、そのまま安定するとお考えですか?
TS:ロレックスとパテックフィリップです。これらはブランドリストのトップに位置します。小売価格はこれらトップブランドによって引き上げられます、おそらく時計業界だけではなく、あらゆる産業においても同様の事は言えるでしょう。価格引き上げにも関わらず市場は時計を引き続き欲し、その時計代金を支払います。定価の引き上げと同時にこのロレックスとパテック・フィリップの2大ブランドは多くの技術的革新を果たしています。ロレックスは新型ムーブメント、スカイドゥエラーのような複雑機構時計やシードゥエラーディープシーなどの開発。これらが価格の引き上げを正当化していると感じています。パテックフィリップでも同様のストーリーがあり、 他にもETAムーブメントを使わない自社開発ムーブメントを作り出すブランドは、注目を集めています。
最も人気のある時計のモデル
2013年 第2クォーター
-
サブマリーナ(ロレックス)
-
シーマスター(オメガ)
-
デイトナ(ロレックス)
-
デイトジャスト(ロレックス)
-
GMTマスター(ロレックス)
-
スピードマスター(オメガ)
-
ロイヤルオークオフショア(オーデマピゲ)
-
ルミノール(パネライ)
-
ロイヤルオーク(オーデマピゲ)
-
クロノマット(ブライトリング)
-
カレラ(タグホイヤー)
-
デイデイト(ロレックス)
-
シードゥエラー(ロレックス)
-
パイロットシリーズ(IWC)
-
ビッグバン(ウブロ)
-
エクスプローラー2(ロレックス)
-
ラジオミール(パネライ)
-
カラトラバ(パテックフィリップ)
-
コンステレーション(オメガ)
-
ポルトギーゼ シリーズ(IWC)
-
ナビタイマー(ブライトリング)
-
デビル(オメガ)
-
ノーチラス(パテックフィリップ)
-
モナコ(タグホイヤー)
-
スーパーオーシャン(ブライトリング)
-
サントス(カルティエ)
-
キングパワー(ウブロ)
-
レディデイトジャスト(ロレックス)
-
エルプリメロ(ゼニス)
-
ディアゴノ(ブルガリ)
-
エクスプローラー(ロレックス)
-
アクアレーサー(タグホイヤー)
-
ヨットマスター(ロレックス)
-
ミルガウス(ロレックス)
-
マスターピース(モーリスラクロア)
-
エアキング(ロレックス)
-
ミッレミリア(ショパール)
-
モンブリラン(ブライトリング)
-
ベントレーモータース(ブライトリング)
-
コルト(ブライトリング)
-
パシャ(カルティエ)
-
グランドカレラ(タグホイヤー)
-
アクアタイマー(IWC)
-
マスター(ジャガールクルト)
-
クラシック(ウブロ)
-
クラシック(U-Boat)
-
ヨットマスター2(ロレックス)
-
フォーミュラー1(タグホイヤー)
-
チェリーニ(ロレックス)
-
ポントス(モーリスラクロア)
値上がりしたのは、
デイトナ、ノーチラス、ロイヤルオーク
AA:価格が値上がりしているモデルは何ですか?
TS:3つ名前を挙げるなら以下になるでしょう。
- ロレックス デイトナ ステンレススチール(ビンテージと新型)
- パテックフィリップ ノーチラス
- オーデマピゲ ロイヤルオーク(ジャンボ)ステンレススチール
特にビンテージモデル、ロイヤルオークのファーストシリーズ、ロレックスのデイトナ ポールニューマン、シードゥエラーダブルレッド等はとても値上がりしました。また面白いことに多くのスチールウォッチは価値を保ちましたが、金の時計はドイツマーケットにおいては安定しませんでした。
アラビアの国々やロシアでは逆の動きをし、宝石の付いたゴールドモデルは、ほぼ完璧な値段を保ちました。結局のところ、ワールドワイドな高品質な時計に対する需要がありました。全ての国で、中国やその他のアジアの国でさえも、ラグジュアリーな高級時計の需要は増しています。それにも関わらずほとんどいつも同じグループの上位10位に入っている時計メーカーが市場を牽引しています。
各ブランドの
値上がりとその要因
AA:元の質問に戻りましょう、これからどのブランドが伸びてくると思いますか?
TS:我々はたくさんのビンテージモデルが値上がりするのを目撃しました。それは、1985年にTAGグループ傘下に入る前のホイヤーの時計などです。これらの時計は希少でこれらの時計の多くは、今日では未使用状態のものはほとんど手に入らないのです。また、70年台前半にリシュモン、スウォッチ・グループ、LVMHが多くのブランドを買収する前にも価格の高騰がありました。1970年代にジェラルド・ジェンタがデザインしたIWC・インジュニアのステンレススチールモデルはおそらく素晴らしい投資となりました。ジェラルド・ジェンタがデザインを手がけた時計はみなそうですが。パテックフィリップノーチラス、オーデマ・ピゲロイヤルオーク、いくつかのロレックスよいったミダース王のようなモデルは極めて希少で入手困難です。オメガのスピードマスターでUSスペースプログラム以前のモデルやシーマスターなどもそうです。私は個人的にオリジナルのジャガールクルトのポラリスが好きです。ジャガールクルトではいくつかのモデルは未だに価格において過小評価されています。スモールレベルソやアラーム搭載の複雑時計のレヴェイユなどです。
低価格帯で
ポルシェデザインが狙い目
安い価格帯での良い投資先といえばポルシェデザインのコレクションでしょう。クロノグラフは特におすすめです。もしくは1960年代1970年代のブライトリングのクラシックナビタイマー。セラミックベゼルのサブマリーナの影響で、旧型のシードゥエラーやサブマリーナは10年やそれ以上持ち続ける価値があるでしょう。それらの価値はほぼ確実に上昇するでしょう。
ブランドが死んだり、売却された場合も要注目です。アランシルベスタインなどは万人受けするのではありませんが、時計はさらにレアです。
同じスウォッチ・グループのブランド、例えばティソやロンジンの価値は上がらないでしょう。今日のマーケットにおいては、希少さが投資グレードの時計の価値を持ち上げてくれるのです。